プロテインの選び方 まずは原材料から! 動物性プロテインvs大豆プロテイン
今は本当に色々なプロテインがあって、何を基準に選べばいいのかが全然変わらないんです。
今のプロテインは一昔前のような「飲むのが苦痛」というものではなく、むしろスイーツ感覚で味わえるものがほとんどだ。
そこでプロテイン選びに迷っている人は以下の要素を吟味すると良いぞ。
【プロテイン選定基準】
①原材料
②製法・加工方法(ホエイ)
③価格/味/溶けやすさ
この3つの要素で選ぶんですね!
そして現在一般的に販売されているプロテインを大きく分けると以下のような原材料に大別できる。
①ミルクプロテイン(ホエイ・カゼイン)
②エッグプロテイン(卵白)
③植物性プロテイン(大豆、サヤエンドウ、大麻)
④その他・ビーフプロテインなど(牛肉)
び、ビーフプロテインなんてものもあるんですね!?
ビーフプロテインと言っても牛肉の味はしないからね。
現代はタンパク源となる食材からタンパク質を抽出する技術がそれだけ優れているんだ。
昔は大豆や魚を粉にしただけの水に全く溶けずに飲むのが苦痛な怪しいプロテインを飲んだり、ゼラチンを大量に溶かしてスープにしたり、牛乳や卵を大量に食べたりしてタンパク質を摂取していたものだ。
現代の技術には深く感謝だね。
炭水化物や脂質よりも摂取コストが圧倒的に高いタンパク質を「安く」「手軽に」「脂質を排除して」「美味しく」摂取できるプロテインはまさに人類の叡智、現代に生きるのであれば利用しない手はない。
魚を粉にしたプロテインって・・・・・
現代の技術に感謝しかないですね!
ところで原材料というのは具体的に何を基準に選べばいいのですか?
①原材料は「栄養素」と「体質」を基準に選ぶべきだね。
「栄養素」と「体質」ですか?
でも原材料が違ってもプロテインはタンパク質だから、摂取する量が同じなら栄養素に違いなんて無いんじゃ・・・
確かに「プロテイン=タンパク質」だから原材料による違いはないと思うだろうが、実は違う。
タンパク質を構成するのはアミノ酸だったね?
そしてこの「アミノ酸の種類と量」というのは原材料が変われば同じタンパク質でも当然変わる。
そうでした!
必須アミノ酸と非必須アミノ酸!
アミノ酸を体内で利用する上で「リービッヒの最小率」と「ドべネックの桶」がありましたね!
必須アミノ酸と非必須アミノ酸、全て肉体には欠かせないものだが、肉体彫刻において特に注目すべきはバリン、ロイシン、イソロイシンで構成されるBCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれる必須アミノ酸群だ。
BCAAはよく聞くアミノ酸ですね。
BCAAを構成する中でも特に必須アミノ酸のロイシンに関してはmTORというタンパク質酵素を活性化することに注目だ。
え、エムトア!?
mTORという酵素は筋タンパク合成のシグナルを活性化し、空腹時におけるオートファジーなどでの筋分解を抑制する。
つまり筋発達を促しつつ、筋分解を抑制するアミノ酸がロイシンを含むBCAAということなんだ。
すごい!
減量中の筋分解抑制と、筋発達のシグナルも両立するアミノ酸群がBCAAなんですね!
肉体彫刻家には欠かせない要素ばかりじゃないですか!
ここで勘違いしないで欲しいのは、筋肉を合成する上では20種類全てのアミノ酸が材料として必要だということ。
BCAAは筋合成のシグナルは高めるけど、それだけで筋発達するわけではないよ。
20種類のアミノ酸によってタンパク質と言うのは合成されるからね。
BCAAはmTORを活性化して筋発達のシグナルを強化する役割はあるけど、どちらかというと筋分解の抑制にとても効力を発揮するんだよ。
BCAAだけで筋肉が付くわけではないんですね。
でもアンダーカロリーな除脂肪中は特に筋分解が起こりやすいからBCAAは有用だよね!
そのBCAAの含有率に優れているのが、一番多く流通しているホエイプロテインなんだ。
当倶楽部でも会員にはホエイプロテインをオススメしている。
ホエイって確か「乳清」って言って牛乳からわずかに取れるタンパク質なんですよね?
ホエイは知ってますよ!
ヨーグルトの透明な上澄み液ですよね!
その通り。
ホエイは乳タンパク質中に約20%程度含まれていて、平たく言えばチーズやヨーグルトなどの乳製品を作る際に出たホエイを粉末化したものがホエイプロテインパウダーなんだ。
そして肉体彫刻とは老若男女関係なく、自らの肉体の「除脂肪」や「筋発達」を求めていくこと。
ということは
除脂肪時の筋分解を抑制し、更に筋発達を強く促すロイシン含む必須アミノ酸が多く含まれているホエイプロテインというのは、通常の食事に追加するサプリメントとしては特に優秀という事だ。
肉体彫刻家が「栄養素」という観点でプロテインを選ぶ際に、ロイシンを多く含むホエイプロテインを選択すれば、まず間違いないということだ。
ホエイプロテインは他のプロテインよりもBCAA、特にロイシンの含有量が高いんですね!
他のプロテインはBCAAが少ないのですか?
エッグプロテインなどの動物性のタンパク源を材料としているものはBCAAを含む必須アミノ酸の含有量は優れている。
ただし大豆を原料としたソイプロテインは必須アミノ酸の含有量、特にBCAAの含有量は他の動物性プロテインと比べて低い。
確かに依然学んだ
プロテインスコア
↓
アミノ酸スコア
↓
PDCAAS
↓
DIAAS
と「タンパク質が評価される時代」になってきていて、その中ではホエイの原料である牛乳や、卵やお肉といった動物性タンパク質のスコアは消化吸収、利用率共に植物性タンパク質と比較しても断然高かったですね!
どんなに良い栄養素も体内利用、つまり消化吸収されないと意味がない。
大豆にはタンパク質を分解する酵素の1つ、トリプシンの作用を阻害するトリプシンインヒビターが含まれるから、消化吸収率が動物性プロテインよりも低いのは仕方がないことなんだ。
また大豆のアミノ酸組成は肉体彫刻に有効な必須アミノ酸、BCAA共にホエイより低い。
じゃあBCAAを多く含むホエイプロテインは筋肉をつけて体脂肪を落とす目的であれば優秀ということなんですね。
あくまでもサプリメント単体での話だがね。
通常の食事から必須アミノ酸を多く含む動物性タンパク質を摂取できているのであれば、わざわざプロテインを飲む必要性は低い。
むしろ食事の管理ができていないのに栄養を補助をするだけのサプリメントに対して優劣をつけたところであまり意味のない話だ。
ホエイが優秀なタンパク源であることは確かだが「あくまでも大事なのは普段の食事」だということを決して忘れていけない。
確かに毎日の主たる栄養源である食事を管理していないのに、栄養を補助するサプリメントに対して優劣をつけても意味がないですね。
毎日の食事で足りない必要な栄養素を補うのがサプリメントの本質ですから。
例えば普段の食事であまりお肉や卵を食べない人には、必須アミノ酸が豊富なホエイは特に有効という事ですね。
最近うちの親なんて「胃もたれするから」って言って全然お肉食べないんですよ・・ちょっと心配で。
そういうことだね。
N美君のご両親のように、年齢を重ねるごとに脂質を伴う動物性たんぱく質の摂取量が下がってしまうと必須アミノ酸の体内への供給量もそれに合わせて減ってしまう。
しかしそもそも消化に必要な消化酵素などもタンパク質を材料としてできているから低たんぱく質な食生活が続けば消化能力が上がることは無い。
これが更に運動不足と重なると正に最悪、筋肉は著しく減少し、フレイルやサルコペニアに繋がる負のスパイラルへ陥ると言うわけさ。
そういう場合には消化吸収に優れ、必須アミノ酸をバランスよく豊富に含むホエイプロテインは特に有効なんだよ。
両親にも薦めてみます!
いつまでも元気なご両親でいて欲しいと願う行動は親孝行だと思うぞ。
そして最近よく「ホエイとソイは、どちらのほうが良いですか?」という質問を頂くが、当倶楽部ではアレルギー、そしてヴィーガンや宗教上の理由がないのであれば、基本的にはホエイやエッグなどの動物性プロテインを推奨している。
動物性プロテインの必須アミノ酸、特にBCAA量の多さは除脂肪時の筋分解抑制や筋発達どちらにも有効というのは揺るぎない事実だからね。
でも先生、私以前にホエイプロテインを飲んでいた時期がありましたが、その時おなかの調子がすこぶる悪かったのですが・・・。
それにはいくつか原因が考えられる。
①体質
②飲み方
③製品
もし普通の牛乳を飲んでも同じようにおなかの調子がすぐに悪化するのであれば①の乳糖不耐症の可能性がある。
乳糖不耐症というのは牛乳に含まれるラクトース(乳糖)を分解するためのラクターゼという酵素の活性が低い人だね。
後で詳しく話すが、その場合は通常のホエイからより乳糖を取り除いた
①アイソレートタイプのホエイプロテイン(WPI)
②ハイドライズド(加水分解)されたホエイプロテイン(WPH)
③エッグプロテイン
などを当倶楽部ではオススメしている。
ホエイプロテインの中でもさらに種類が・・・
な、なるほど!
あとは元々消化酵素自体の活性が低い人には「消化酵素」の摂取を食後にオススメしている。
「ミルクエンザイム」や「強力わかもと」「エビオス錠」など今では様々な消化酵素が販売されているからね。
なるほど、外から消化力を補うわけですね。
②の飲み方というのは?
商品に記載されている推奨量を超えて、大量の液体でプロテインを溶かして、それを一気に飲んだりしていないかな?
実はこういう人はかなり多い。
タンパク質は胃液や膵液、小腸粘膜などに含まれるペプシン、トリプシン、ペプシターゼなどの消化酵素でアミノ酸に分解される。
推奨量を超える大量の液体で溶かして一気に飲めば、それら消化液を当然薄めてしまう。
消化されないタンパク質が小腸を通過し、大腸に届けば腸内細菌によってガスが発生し、おならが多く、匂いがキツくなったり、腹部の膨満感に繋がる。
・・・その時に飲んでいたホエイプロテインが全然溶けなくて、味が甘すぎたので、大きめのシェイカーに水を多めにして一気に飲んでたかもしれないです。
では③の製品と言うのは何なのでしょうか?
海外製のプロテインなどで多かったりするが、たまに「乳酸菌入り」などのプロバイオティクスプロテインが売っていたりする。
そういう製品を飲んで、もし合わなければ最悪だ。
お尻から水が止まらなくなった肉体彫刻家は非常に多い。
お尻から水・・・
後は「人工甘味料」だね。
コスト抑えて美味しく甘くするために現在のプロテインはほとんど人工甘味料が使用されているが、これでお腹の調子が悪くなるという人もいる。
そういう人はステビアやラカントなど天然植物由来の甘味料に変えてみたり、添加物の入っていない美味しいプレーンなホエイプロテインを選択するのも一つの手だ。
人工甘味料でおなかの調子が悪くなる人に向けたオススメ商品も後で紹介するよ♪
肉体彫刻倶楽部では基本的には通常のホエイプロテインを推奨するけど、乳糖不耐症の人に限っては
①アイソレートホエイ
②ハイドライズドホエイ
③エッグプロテイン
を推奨するってことね♪
除脂肪時の筋分解抑制、更に筋発達ともにロイシンを多く含むこれらのプロテインはオススメできるわ♪
あれ?
先生・・・大豆・・・ソイプロテインはどうなんですか?
そうですよ!
私今でも毎日ソイプロテインを飲んでますけど、倶楽部でソイプロテインはオススメしないのですか?
難しいところだね。
ソイプロテインに関しては先述したが、乳や卵に対してアレルギーを持っている人、そしてヴィーガンの人や、宗教上の理由が無い限り当倶楽部ではあまり推奨はしていない。
そ、それは除脂肪や筋発達など肉体彫刻においてホエイの方が有効だからでしょうか?
確かにActive強度や、栄養休息の回復強度が同じ場合、サプリメント単体で比較した際にはBCAAやロイシンに富むホエイやエッグプロテインの方が肉体彫刻には有効だと言える。
また長期的摂取によってソイプロテインは男性ホルモン値を下げる研究結果も出ている。
男性ホルモンは筋発達・除脂肪に強力に作用するホルモンだからね。
更にホエイプロテインの場合は尿酸の排出も強く促す。
トレーニングによって筋細胞が壊れて尿酸値が上がりやすい肉体彫刻家や元々尿酸値の高い人にとってはこれも健康上とても大きなホエイの利点だ。
ホエイのメリットを挙げればキリがないが、当倶楽部でソイプロテインを推奨できない理由は他にあるんだ。
ホエイプロテインのメリットの多さがすごい・・。
尿酸値の高い僕にはまさにぴったりな商品ですよ。
ソイプロテインの方が引き締まったカラダになるってずっと思ってたのに・・・。
私もダイエットや健康を重視するならソイプロテインが優れているって思ってました・・。
その言葉、聞き捨てならないな。
えっ?
へっ?
ソイプロテインのリスク
そもそもプロテインはカロリー。
日々の食事に追加摂取して痩せるということは、まず有り得ない。
ソイプロテインを「女性向け」だったり「引き締まったカラダに」という宣伝がされるのは企業が物を販売する上でのイメージ戦略だとまず認識した方が良い。
ソイプロテインが痩せるというのは企業のイメージ戦略・・・・
言われてみればプロテイン自体が「そもそもカロリー」ですから、通常の食事に追加摂取して痩せるなんてことは確かにあり得ないですね。
原材料がホエイよりも安い大豆プロテインは売値にもよるが利益率が高い。
そしてその大豆プロテインを販売して利益を上げたい場合
消化吸収、体内利用率でホエイに劣り
筋発達シグナルの増加、筋分解抑制でもホエイに劣る
などのデータを前面に出して、大豆プロテインが売れるわけがない。
つまりホエイよりも身体づくりにおいて有効な面が少ないということは、ソイプロテインは菜食主義者以外にはセールスポイント自体が少ないということ。
だからソイプロテインは「女性向け」であったり「引き締まったカラダに」などの景品表示法ギリギリのコピーライティングが必要になるわけだ。
引き締まったカラダ=除脂肪
ということであれば「サプリメント以前に一日の食事が全て」
調理油や食材の脂質を気にせず摂取し続けている限り、どんなサプリメントを摂取しようが除脂肪は達成できない。
それ自体がカロリーなのに、「摂取すれば痩せる」と消費者を錯覚させるような大豆プロテインの販売戦略には少し疑問を感じるね。
確かに体組成を変えるのは毎日の食事が全てで、タンパク質というカロリーを摂取するだけのプロテインで痩せるというのがおかしな話ですよね・・・。
ダイエットにはソイプロテインだとずっと思っていたのに・・・。
引き締まったカラダに「なります」
「痩せます」
ダイエットに効果的
などの赤字の文言は実際の商品に記載されていないだろう?
それはそういう記載をしてしまうと景品表示法に抵触するからね。
サプリメントはあくまでもただ「栄養を追加補助」するだけで魔法の薬ではない。
大豆プロテインもホエイプロテインもカロリー。
そしてダイエットや除脂肪は「一日の食事」が全て。
ダイエット時の●●に とかってキャッチフレーズがソイプロテインは当たり前になっているけど、そもそも除脂肪中のアンダーカロリー時にこそ防ぐべきは筋分解であって、そのためには必須アミノ酸、BCAAを多く含むホエイこそが有効なのはこれまで説明した通りだよ。
根拠のないダイエットに関する表示などに関して、消費者庁がとてもわかりやすく我々消費者に対して説明してくれているPDFリーフレットがあるから一度見てみると良いよ♪
でもソイプロテインはホエイにはない大豆イソフラボンを多く含むので、女性のカラダには特に良いっていうのは昔からテレビや雑誌で散々流れていて有名じゃないですか?
そうですよ!
動物性プロテインには含まれない大豆イソフラボンはソイプロテインの大きな利点で、カラダに良いっていうのは間違いないんですよね?
肌もキレイになるっていうし・・・。
でたわね、大豆イソフラボン・・・。
切り取った情報に踊らされてはいけない。
髪の毛や肌を含めた体組成の健康を維持し、刷新するのはあくまでも20種類のアミノ酸と肉体に不可欠なビタミン、ミネラルだ。
そしてホエイやエッグプロテインは不足しがちで食事から摂取するしかない必須アミノ酸の含有量も多く、そのバランスも、消化吸収率も良い。
髪や肌の事を気にして日常的に摂取するのであればこそ、必須アミノ酸に富んだ動物性プロテインは優秀なんだ。
だが確かに君らが言うようにソイプロテインは大豆イソフラボンなどのフィトケミカル(植物性化学物質)を摂取することができる。
そ、そうですよね!
だって大豆は昔から健康に良い食材で有名ですから!
そうですよ!
そもそも大豆が日本人の健康因子である理由というのは低脂質で高たんぱく質、食物繊維を含み、カルシウムなどの豊富なミネラルを含むということであって、大豆イソフラボンが直接的な健康因子だということは証明されていない。
むしろ低脂質、高タンパク、カルシウムなどのミネラルに関して言えば、ホエイプロテインはより高いレベルでその条件を満たす。
そして大豆イソフラボン自体は大豆食品などから適量の摂取が健康に寄与するという報告はあるが、必ずしも人体に必須の栄養素というわけではない。
むしろその大豆イソフラボンこそが当倶楽部でソイプロテインを老若男女にオススメできない要素となっているんだ。
そ、そうなんですか?
大豆イソフラボンは「目から鱗の健康成分」だってテレビでやってましたよ!
であればソイプロテインこそ老若男女にオススメできるじゃないですか!?
そうですよ!
だいぶ昔から「大豆イソフラボンは女性にとって必要な栄養素」っていうのは常識じゃないですか?
最近では色々な商品に大豆イソフラボンは入っています。
私もソイプロテインを更に豆乳で割ったり
毎日習慣的にコンビニでソイラテを買ったり
納豆を毎日食べたりと
積極的に毎日摂取していますよ!
・・・・N美さん。
ふむ。
であればN美君にはその生活を改めてもらうために、話す必要があるようだね。
へ?
え?
N美さんが毎日欠かさずに摂取しようとしているその大豆イソフラボンには毎日習慣的に摂取する場合の「上限値」が定められているのを知らないのかい?
毎日習慣的に摂取する際の上限値・・・ですか?
大豆イソフラボンに関しては「毎日摂取する際の平均上限値を70~75mg」と国から平均摂取上限値が出ている。
そして納豆1パックで45~65mgの大豆イソフラボンを含む。
つまり毎日納豆を1パック食べる人であれば大豆イソフラボンを上限値近く摂取できるということだ。
更にソイプロテイン1回分にはメーカーにもよるが大体60mg近い大豆イソフラボンが含まれている。
つまり納豆などを毎日習慣的に食べる人は、更にサプリメントから大豆イソフラボンを追加摂取する必要は無い。
むしろ毎日習慣的に1日1~2回ソイプロテインを飲んで大豆イソフラボンを摂取することは過剰摂取を招く可能性が非常に大きい。
か、過剰摂取・・・。
大豆イソフラボンに摂取上限値があったなんて知らなかった。
しかも納豆1パックで十分って・・・。
テレビや雑誌からの情報で大豆製品はカラダに良いとしか思っていないから、積極的にドンドン摂取していたのに・・・。
テレビや雑誌で何かを紹介する時っていうのは「お金」が絡むわ。
テレビは視聴率が大事だから、視聴者が興味を持ってくれるような情報を切り取って目引くように過剰に紹介するし
雑誌も結局は企業から広告料をもらって商品を掲載・紹介しているわけだから、当然ネガティブな情報を前面に記載するわけがない。
つまり一辺倒な情報になりやすいのよ。
昔から大豆製品を日常的に食べる日本人には「大豆イソフラボンはカラダに良い」っていう印象が既に広まっているから、それをコピーライティングにすれば良い商品印象を与えられるってね。
ソイプロテインを否定するわけじゃないけど、大豆イソフラボンなどは過剰摂取に関して国が平均摂取上限を設定しているという事実をまずしっかりと認識した上で選択するべきだよ。
以下は大豆イソフラボンについて農林水産省が過去にQ&Aで回答しているものをいくつか抜粋したものだよ。
ちなみにエストロゲンっていうのは「女性ホルモン」のことね。
問8:大豆イソフラボンは、ヒトの健康にどのような影響がありますか?
【回答】食品安全委員会は、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」の中で、大豆イソフラボンの主たる生体への影響として、以下のとおり、エストロゲン受容体を介する作用を挙げています。
エストロゲン受容体を介する作用① 「大豆イソフラボンは植物エストロゲンのひとつといわれ、その化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)と類似しエストロゲン受容体(エストロゲンレセプター)に結合することから、促進的あるいは競合的に種々の生体作用を発揮することが、試験管内の試験や、動物実験で示されている。」
② 「これらの効果がヒトにおいても発揮されることが推論されうる。例えば骨粗しょう症、乳がんや前立腺がん等の予防効果が期待されるが、一方、乳がん発症や再発のリスクを高める可能性も考えられる。しかし未だ実際に多くの研究が行われている段階にあり、ヒトにおける大豆イソフラボンの有効性と安全性についての議論は確立していない。」
問10:大豆イソフラボンを含む食品を食べる際に、何か注意する必要はありますか?
【回答】大豆イソフラボンを含む食品のうち、豆腐、納豆、煮豆、みそなどの「伝統的な大豆食品」については、日常の食生活の中でその他の食品とともにバランスよく食べるように心がけてください。また、大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品の過剰摂取による大豆イソフラボンの摂り過ぎには注意してください。
問11:大豆イソフラボンは天然の食品成分なので、健康への悪影響はないと聞いていました。なぜ、摂り過ぎは体によくないのですか?
【回答】① 天然由来の食品成分はいくら食べても大丈夫、という考え方は正しくありません。例えば、セレンは魚介類や海草類、穀類に比較的多く含まれる微量栄養素であり、人の健康の維持に必須なもので、不足すると心筋障害、発育不全や老化、消化器の病気など欠乏症が起きます。しかし、セレンをサプリメントなどにより過剰摂取すると爪の変形や脱毛、胃腸障害、下痢、神経障害など過剰症が起きることが知られています。このように、天然の食品成分であっても、摂り過ぎると健康を害する可能性があります。② 大豆イソフラボンは、問8にあるように、主にエストロゲン受容体を介してヒトの健康に有益な効果があると想定されていますが、同じエストロゲン受容体を介する作用が有害性側に働く可能性も指摘されています。
なお、大豆イソフラボンは、人の健康の維持に必須の栄養素とされていません。
問12:子供に大豆イソフラボンを含む食品を食べさせても大丈夫ですか?また、妊婦についてはどうですか?
【回答】食品安全委員会は、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」の中で、子供や妊婦に対する安全性について以下のように述べています。
① 「日本においては、これまで、大豆イソフラボンを含む多種多様な大豆食品が日常的に摂取され、日本人は一般的な大豆食品の食経験を有している。言い換えると、大豆食品に含まれる大豆イソフラボンについても食経験を有しているといえる。
これら大豆食品の摂取に関し、安全性について特別の問題が提起されたことはない。」② 「妊婦及び胎児においては、動物実験において有害作用が報告されていること、大豆イソフラボンのトポイソメラーゼII阻害作用※を鑑みると、特定保健用食品として日常的な食生活に上乗せして摂取することは、推奨できない」6/9C 「乳幼児及び小児については、その生殖機能が未発達であることを考慮すると、特定保健用食品として日常的な食生活に上乗せして摂取することは、推奨できない」
※ トポイソメラーゼ阻害作用「大豆イソフラボンやケルセチン等のフラボノイドは、DNAの構造を正常に保つ働きを持つトポイソメラーゼIIを阻害し、MLL(myeloid-lymphoid leukemia)遺伝子の異常(転座・再配列等の変異)を生じさせる可能性があることが報告されている。MLL遺伝子の再配列は、トポイソメラーゼII阻害作用から抗がん作用を示すと考えられている抗がん剤のVP16やドキソルビシン(トポイソメラーゼII阻害剤)によっても誘発され、これらの薬剤による治療によって後に急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病が発症することが知られている。また、乳幼児急性骨髄性白血病の65%、急性リンパ白血病の85%にMLL遺伝子の異常が関与しているとされるが、1歳以上で診断される場合はその5%のみしかMLL遺伝子の異常が関与しないことから、乳幼児におけるMLL遺伝子関与の白血病は、子宮胎内で生じるものと考えられている。このことから、妊娠中におけるトポイソメラーゼII阻害作用のある物質への暴露による胎児への影響について懸念が示されている。」(食品安全委員会、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」より引用)
・・・。
一日納豆1パックで十分・・・。
更にソイプロテインを飲めば明らかに習慣的摂取上限値の75mgを超える・・・。
ちなみに海外での大豆イソフラボンに対しての安全性評価も内閣府の食品安全委員会から出されているよ。
何かある度に「国際基準」「海外では~」という日本人だからこそ、大豆イソフラボンに対しての海外の評価も知っておかないとね。
【イギリス】
英国食品基準庁(FSA)は2003年に、食事由来の植物エストロゲン摂取による健康への影響について、検討を行っておりますが、引き続き、研究、試験等を進める予定としております。
【フランス】
フランス食品衛生安全庁(AFFSA)では、植物エストロゲンに関する報告書(2005年3月)「食品から摂取する植物エストロゲンの安全性及び有益性−勧告」において、植物エストロゲンの摂取による健康影響(リスク)が考えられない量として、大豆イソフラボンアグリコン1mg/kg体重/日を示しております。また、大豆たん白を主成分とする調理食品を摂取する乳幼児は、その食品中の植物エストロゲンを1mg/lに制限すべきとし、乳がん患者及び、本人又は家族に乳がんの病歴のあるヒトは、腫瘍増殖及び増大のリスクを考慮し、摂取を制限すべきとしております。
【アメリカ】
米国食品医薬品庁(FDA)では、大豆たん白質の摂取により、血漿LDL(low-density lipoprotein)の低下が見られた臨床試験をもとに、大豆たん白質の摂取が冠状動脈性心臓疾患のリスクを減少させる可能性があるという、健康強調表示(Health claim)を1999年に承認しております。
米国医療研究・品質調査機構(AHRQ)では、2005年に、大豆及び大豆イソフラボンの健康影響について、心臓血管への影響、更年期障害への効果、内分泌機能への影響、がん細胞の増殖作用、骨への影響等の観点からヒト試験の報告を検討したところ、大豆たん白質、大豆から抽出されたイソフラボン類の内分泌機能、月経周期、及び骨への効果については、裏付けがないとしております。
米国心臓協会(American Heart Association)では、大豆たん白質と大豆イソフラボンに関する最近の試験報告を評価し、大豆イソフラボンについては、更年期の症状に対して低減効果は見られず、また、乳がん及び前立腺がん等の予防と治療に対する効果と安全性については確立していないこと、臨床報告の結果が乏しく、副作用の可能性もあることから、大豆イソフラボンを含む食品や錠剤の摂取は推奨できないと結論しています。
これに対し、豆腐等の多くの大豆食品は、不飽和脂肪酸、食物せんい、ビタミン類、ミネラル類を多く含み、飽和脂肪酸の含有量が低いことから、動物性たん白質を、大豆食品と置き換えることは、心血管疾患や、全般的な健康に有用/有効であろうとしております。
【イタリア】【イスラエル】
イタリアにおいては、2002年7月、植物エストロゲン、大豆イソフラボンを補完した食品による一日摂取量を80mg/日を超えないようにとの勧告がだされており、イスラエルにおいては、幼児における大豆食品の消費が制限されること、及び乳児については摂取させないことが推奨されたとの情報があり、大豆食品を摂取する成人に関しては将来の試験報告があるまでは適量に留めるべきであると助言している。
内閣府 食品安全委員会 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
そ、そんな・・・
大豆イソフラボンは目から鱗の健康成分なんじゃ・・・・
味噌汁や納豆、豆腐などの大豆食品に健康効果があることは明らかになっているし、大豆イソフラボンに関しても大豆食品から毎日適量の摂取は健康効果が促進されるようなコホート研究も出ている。
あくまでも食品以外からの過剰摂取に対してはどの国でも勧告が出されているようだがね。
豆腐や味噌汁、納豆が健康に良いことは確かなんですね。
だけど食事に追加するサプリメントなどでは植物性エストロゲン、つまり大豆イソフラボンは過剰摂取になる可能性があるから推奨しないということ・・・。
これってどの国も大豆イソフラボンの過剰摂取が有害になる可能性を示唆していますよね?
じゃなきゃわざわざその成分に絞って勧告や声明なんて出さないわけだし・・。
そしてソイプロテインを一回飲めば習慣的摂取上限値にほぼ達する。
更に大豆製品を食べたり、または日に2回もソイプロテインを飲めば確実に摂取基準値を超えてしまうということですよね・・・。
日本人は大豆に対して圧倒的な安心感と信頼感を持っているからね。
ただしその件の健康効果は「味噌汁や豆腐、納豆などのリアルフードで適量摂取する」ことなんだと理解しなければならない。
商品を扱う売りたい立場の人間は
効能や悪影響などに対して、世界中で遺伝子研究も含めた様々な研究がおこなわれていて、未だ結論が出ていないにも関わらず
「成分の効能だけを切り取って健康アピールし」
「現代人は足りていません!」と健康不安を煽り、購買意欲を掻き立てる。
肉体彫刻家はこういう切り取られた情報だけに左右されてはいけないということだ。
じゃ、じゃあソイプロテインはやっぱり良くないのですか?
そんなことはないさ。
特定の栄養素の過剰摂取が有害となる可能性があるのは何も大豆イソフラボンに限ったことではない。
まずは事実を事実として認識した上で「自分で選択する」ことが大切だということだ。
大豆イソフラボンに関しては健康効果や有害効果に関しての結論は未だに出ていないということをね。
そしてプロテインというのは日常的に飲み、そして日に何度も飲む人もいる。
つまり人によって消費量も変わり、大豆イソフラボンの過剰摂取になる可能性が大きい。
そういう状況下で当倶楽部でソイプロテインを会員に推奨することは無い。
世界中で有効・有害性について未だハッキリとした結論が出ていないのに、日常的に一日数回にわたって摂取する可能性のあるソイプロテインを老若男女に自信を持ってオススメすることはできないというわけだ。
確かにプロテインは毎日習慣的に摂取し得るサプリメントですからね!
事実をしっかりと認識した上で「自分で判断して選択する」ことが大事だと思います。
ちょっと衝撃でした・・・。
いままでテレビや雑誌の情報をそのまま何も疑わずに受け取っていましたけど、そこに企業が絡むという事は、お金が絡むという事を忘れないようにしたいです。
ちなみにカフェイン飲料には含有カフェイン量と一日の摂取目安が記載されていることが多いが、大豆イソフラボンにはその記載がほとんど無いというのも理解しておいた方が良い。
国で設定している摂取上限値と、その商品1回分に含まれる成分量を製品に表記しない理由は何なのか?
それを記載した場合はどうなるのか?
自分で考えて判断すると良い。
・・・はい、わかりました。
理解した上で、自己責任で・・・。
自分で判断したいと思います。
少し話が長くなってしまったね。
次回はホエイプロテインを選ぶ際の基準
製法・加工方法
などについて話をしていこう。