EP-11 同化と異化③ ~PFC 太る食事とは?~

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目次

肥満の真実と原因

ダビデ

前回「究極の同化ホルモン・インスリン」の話をしてN美君は何か見えてきたと言っていたね。

N美

その、なんというか・・・

肥満の原因・・・

「太る原因ってみんな知っているようで、実は知らないんじゃないか」

そう思ったんです。

ダビデ

ほう・・・。

M彦

N美さん何言ってるんですか!

我々はその道のプロでしょう(笑)

ロミペン

それは違うな。

「知っている」のと「理解している」のでは行動に明確な違いが出る。

M彦

え? そ、そうなの!?

だってラーメン、アイスに、揚げ物、ポテトチップに・・・

「太る原因なんて誰だってわかるじゃないか」

アーシャ

ふふ。 

じゃあなんでポテトチップスを食べたら太ると言われているのかしら?

M彦

え・・・それは油が多いから・・・

ロミペン

そういう中途半端な理解では「脂質」は「悪者」になってしまうな。

肉体彫刻家を自負するなら、「太る仕組み」を理解しないとだめだ。

M彦

う、うん・・・

ダビデ

二人は運がいいな。

今日は私が大好きなショートケーキとレアチーズケーキがここにある。

N美

先生って甘党なんですね!

すごい・・・美味しそう~

M彦

先生、私はレアチーズケーキを希望致します!
(このボロっと硬そうなクラム生地・・なんて美味しそうなんだ)

ダビデ

ふふ、私は生クリームやチーズなどの乳製品が大好きでね。

二人も一緒にどうかな?

N美

よ、宜しいのですか!?

頂きます!

M彦

先生、お紅茶か珈琲はございますか!?

ロミペン! 

いつもの美味しいブレンド淹れてくれよ!

ロミペン

「キンバライトブレンド」

タンザニアAAと深煎りのモカだな。

別に構わないよ。

ただしこのケーキの「PFC」を理解してからだな。

M彦

へ?

N美

PFC?

ダビデ

PFCとは「三大栄養素」のことだ。


P = プロテイン(タンパク質)
F = ファット(脂質)
C = カーボハイドレート(炭水化物)


身体を作り、そしてエネルギーとなる。

我々の肉体にとって主要な栄養素。

だから「三大栄養素」だ。

N美

三大栄養素!

聞いたことがあります!

アーシャ

ショートケーキとチーズケーキ。

ちなみにどういう材料が使われているか知ってるかしら?

M彦

えーっと、ショートケーキは・・・

・いちご
・生クリーム
・小麦粉
・無塩バター
・牛乳
・たまご
・砂糖

って感じですか?

N美

チーズケーキは・・・

更にクリームチーズやゼラチンが加わるといった感じでしょうか。

ダビデ

いいぞ二人とも。 


「自分の食べる料理の食材に明るいのは良いことだ」


では早速それぞれの食材をPFCに置き換えてみよう。

ロミペン。

ロミペン

はい、ではまず「P」プロテイン(タンパク質)から。

・小麦粉
・たまご
・牛乳
・クリームチーズ
・ゼラチン

に主に含まれますね。

アーシャ

次は「F」ファット(脂質)ね。

・牛乳
・生クリーム
・無塩バター
・クリームチーズ

牛乳以外の食材は多くの脂質で構成されているわね。

ダビデ

最後に「C」カーボハイドレート(炭水化物)だ。

炭水化物とは「糖+食物繊維」だったね。


・小麦粉
・いちご
・砂糖


小麦粉は炭水化物
いちごは「糖」を含む。
砂糖は「糖」そのものだ。

N美

ゼラチンはタンパク質なんですね!

ロミペン

ゼラチンは牛や豚、魚などの皮や骨から抽出したコラーゲンが主な主成分なんだ。

アミノ酸はその結合数が増えるにつれて「ペプチド」や「タンパク質」と呼ばれる。

ゼラチンのコラーゲンもアミノ酸が多数結合したタンパク質なんだ。

M彦

PFCかぁ・・・・今まで意識したことは無かったですけど。

食材を三大栄養素というフィルターにかけてみると「特徴が分類できる」のは面白いですね。

ダビデ

素晴らしい感想だ。


そしてケーキのPFCの割合を見ると、レシピにもよると思うが

P(タンパク質) = 2
F(脂質) = 4
C(炭水化物) = 4

といった所かな、ロミペン?

ロミペン

そうですね。

レシピによりますが・・・チーズケーキの場合だと、クリームチーズを多用しますし、スポンジ生地からクラム生地になるのでより脂質の割合が上がりますね。

P=2
F=5
C=3

ってところでしょうか。

N美

すごい・・・ロミペンさん・・・

さすがは料理人・・・

ダビデ

さて、ケーキのざっくりとしたPFC割合を見てどう思う?

N美

う~ん・・・。

生クリームやバター、クリームチーズなどを使うので「脂質が多い」と思いました。

アーシャ

Goodよ、N美さん☆

M彦

僕は思いのほか炭水化物(糖質)が低いんだな~って思いました。

ロミペン

多量の糖質が含まれていても「割合」で見ると低く感じてしまうよな。

ケーキに含まれる糖質は多い、ただしそれ以上に「脂質が多い」ってことなんだ。

N美

な、なるほど。

ダビデ

ではケーキを食べ、消化吸収というプロセスを経て

「君らの血液中にはどのような栄養素が流れる?」

N美

えっと・・・


炭水化物(糖)はグルコースとして血液中に流れます。

脂質も確かリンパ管を通って血液中に流れます。

タンパク質はアミノ酸に分解されて、これも血液中に流れます。

ダビデ

その通り、摂取した食物に含まれるPFC全てが血液中に流れる。

そして財布と銀行口座でおなじみの
「糖質」と「脂質」はエネルギーになるんだったね。



では続いて質問だ。

「ケーキを食べて血糖値は上がる」かな?

M彦

それはモチロン上がりますよ!

「糖」や「炭水化物」を多分に含んでいますからね。

「糖」や「炭水化物」は消化吸収を経て、グルコースとして血液中に流れるので当然血糖値は上がります。

ダビデ

血糖値が上がるとどうなるのかな?

M彦

インスリンが分泌されます!

ダビデ

ふむ、ケーキは「脂質が多い」のだったな。

M彦

糖や炭水化物も多いですが・・・

割合でみるとやはり脂質が断然多いです!

ダビデ

ふむ、なるほど。

N美

・・・・・。

ロミペン

・・・どうしたんだい、N美さん?

N美

「脂質が多い」ってことは、「血液中に脂質が多く流れる」んですよね?

ダビデ

当然そうなる。

脂質は三大栄養素の中でも消化吸収に時間がかかるが

「多く摂れば」「血液中に多く流れる」これは当たり前だ。

N美

・・・・・・。

M彦

どうしたの、N美さん?

お腹でも痛いの?

そろそろケーキを頂きましょうよ・・

N美

バカ彦・・・

あんた「インスリンが究極の同化ホルモン」だって忘れたの?

M彦

へ?

N美

確かインスリンは「血液中の三大栄養素全て」を身体に同化させる肉体増強ホルモン。


つまり「大量の脂質が血液中に流れているとき」に血糖値を上げてインスリンなんて分泌したら・・・

ダビデ

脂肪細胞は血液中のTG(中性脂肪)を取り込み「肥大」する。


なぜなら「インスリンの同化シグナルは脂肪細胞にも働きかける」からだ。


脂質もエネルギー。つまりお金だ。

必要以上のお金は裸で持ってはいけない。

脂肪細胞にしまっておく必要がある。

N美

確か脂質は銀行口座(脂肪細胞)に直接振り込まれる・・・

M彦

あっ!

ダビデ

その通り。

「脂肪細胞の肥大」

つまり「肥満」へと繋がる。

N美

血液中に流れている栄養素を・・・

血糖値の上昇に伴い分泌されるインスリンが・・・

身体中の細胞に取り込むように号令をかける・・・

アーシャ

それが「同化」なのよ。

インスリンをトリガーとして、細胞が栄養素を取り込む。

素晴らしいわ、N美さん!

N美

・・・ありがとうございます。

ダビデ

さて・・・と。

M彦君はレアチーズがご所望だったね、早速取り分けよう。

クランベリーの甘酸っぱいソースも一緒にどうかな?

M彦

いえ・・・・その・・・

ダビデ

どうしたんだい?

ここのレアチーズは美味しいぞ。

ご賞味あれ。

M彦

あ・・あ・・

ダビデ

ふふ。

少し意地悪だったかな?

ではロミペンが作ったこれならどうかな?

N美

美味しそう!

草餅?

M彦

こ、これは!?

ロミペン特製の「フーチバー彫刻餅!」じゃないか!?

ダビデ

ほう・・・さすがは幼馴染。

N美

フーチバー彫刻餅!?

M彦

香りも良いし、これすごく美味しいんだよ!

ロミペン

フーチバーというのは沖縄の方言で「よもぎ」のことさ。

N美

なるほど、ヨモギ団子かぁ~

ダビデ

ところがこいつは普通のヨモギ団子ではない。

ロミペン特製のこの彫刻餅は、きな粉をまぶさなければ

P=3
F=0
C=7

と素晴らしいPFC割合を誇る。

N美

ばっ、馬鹿な!?

団子って米ですよね?

どこからそんなタンパク質が・・・

M彦

タンパク質が異常に高い・・・

それに脂質が無いだって!?

アーシャ

和菓子は脂質がほとんど含まれていないのが多いから、肉体彫刻家から見ると和菓子は貴重な「彫刻菓子」なのよ♪

そしてロミペンの彫刻餅って上新粉以外、余分な砂糖を一切使っていないのよね♪

ロミペン

ふふ。

実は今回は羅漢果と餅粉にEAAを混ぜて作ってみたんだけど、実はそれだけじゃない。

腸内環境を整えるために、この彫刻緑餅は菊芋に多く含まれるイヌリンなんかの食物繊維も多分に含んでいるんだ。

N美

・・・・て、天才ですか!?

ダビデ

ほう・・・二人とも嬉しそうだね、

N美

それはもう!

だって脂質ゼロのお菓子ですよ?

M彦

脂質が無いだけで銀行口座(脂肪細胞)に直接エネルギー源が振り込まれない。

つまりケーキよりも太りにくいってことですよね!?

ロミペン

もちろん糖質だってエネルギーである以上、条件を満たした場合は体脂肪として蓄積されることは忘れちゃダメだぞ!

N美

でも脂質と違って、糖質が直接脂肪組織に振り込まれるわけではないんですよね?

ダビデ

そうだね、グルコース(糖)はいくつもの条件を満たさなければ体脂肪として蓄積されない。


①細胞消費(糖)

②筋グリコーゲン合成

③肝グリコーゲン合成
 ※筋・肝グリコーゲンが満たされた場合④へ

④-1 脂肪細胞にグルコースを取り込む(グリセロールに変換)
④-2 余ったグルコースを肝臓でTG(中性脂肪)に合成

⑤細胞消費(中性脂肪)

⑥消費しきれない中性脂肪は脂肪組織へ取り込み


脂質と違って糖質は体脂肪として蓄えられるまでに、いくつかの段階を踏む必要がある分、体脂肪になるまでの道のりは長いと言える。

N美

とうことはやっぱり・・PFCの組み合わせって・・・

ダビデ

理解してきたかな?

「太るPFCの組み合わせ」を。

N美

ずばり糖と脂質!

M彦

F(ファット)

C(カーボハイドレート)


つまり脂質+炭水化物(糖質)は・・・太る。

アーシャ

Goodよ、M彦君。

N美

わかったわ・・・ポテトチップスが太る理由が・・・

M彦

あっ!

ロミペン

一般的なポテトチップスのPFC割合は

P = 1
F = 4
C = 5

ってところかな。

ぶっちゃけ「P」は1も無いよ。

N美

げ・・・・

M彦

そりゃ太るわけだ・・・

ダビデ

太ると言われている食事というのは「FとCの割合が高い」ことが挙げられる。


大量の油を使用し、味の濃い中華料理は太りやすいと言われているだろう?

味が濃く白米や麺などの炭水化物とよく合うからね。


それ以外でも「脳の報酬系を刺激し満足度の高い食事」というのは油分を含んだ揚げ物やおかずと一緒に白米を食べたりすることが多いだろう?

N美

中華料理は私の愛する・・・・

M彦

ステーキ、唐揚げ、とんかつ・・・
ご飯が無いととても・・・

ダビデ

結果として太るのは当たり前のことなんだ。


脂質もエネルギー、そして糖もエネルギー。


2種類のエネルギーを同時に過大摂取して身体が消費しきれずに同化して溜め込む。


「非常に優秀な高エネルギー源である脂質」
「即効性のあるエネルギー源で、且つインスリン分泌を促す炭水化物」

これらを同時摂取することにより、大量のエネルギーを身体は同化する。


つまり「脂質」と「炭水化物」を同時に大量摂取すると「太る」というわけだ。

N美

脂質と炭水化物の同時摂取はNG・・・・

M彦

確かに・・・

でも・・・

ダビデ

だからと言って「食べない」とすることは無いさ。
食べても構わない。


重要なことは「理解」することだ。


「理解」さえしてしまえば「選択」ができる。


もし君らが減量中にアイスを食べたくなったとしよう。

であれば「食べない」のではなく「脂肪分の多いアイスクリームではなく、脂質の含まれていないフルーツソルベにしよう」といった具合に「理解による選択」ができるということが大事なわけだ。


理解は人に選択を与える。


「肉体彫刻とは理解の下に選択された行動の習慣化」に他ならない。


食べたいものを食べてもいいし、選択して別のものを食べてもいい。

重要なことは「そこに理解があるかどうかだ」

M彦

理解による選択・・・

そして選択された行動の習慣化こそが肉体彫刻

ロミペン

先生の言う通り「食べない」という選択肢は良くない。


「行動理解」の章でも話した通り、自分の報酬行動は出来るだけ満たしてあげないと継続、つまり習慣化することが難しいからね。


コンビニでもスーパーでも、何か食品や食材を購入する時に今回説明した「PFC割合」を理解しているだけで購入するものが変わってくるんだ。


【どうしても菓子が食べたくなったら】

生クリームたっぷりの洋菓子ではなく
脂質の無い、みたらし団子やフルーツ大福などを選択するのも良いし。


【どうしてもスナック菓子が食べたいのであれば】

ポテトチップスよりも
「せんべいや柿の種」を買うとかね♪

柿の種はほとんど脂質が含まれていない非常に優秀な菓子だよ。
(ピーナッツ抜き&わさび味は神だぞ)


知っていると理解するでは、行動が変わる。


理解している人は減量中であっても普通にお菓子も食べられる。

M彦

柿の種!?

僕、大好きだよ!

N美

なるほど!

「理解による選択」

ロミペンさんがはじめに言っていた「知っているのと理解しているのでは行動に違いが出る」ということですね。


F+Cの組み合わせがダメなのであれば、どちらかを削る。


「アイスクリームとソルベ」

「ケーキと和菓子」

「ポテチと柿の種」


どちらも「菓子」だけど、「PFCの割合」が全く違う。

ダビデ

だいぶ同化について理解が進んできたようで何よりだよ。

「痩せるを極めたい」のであれば

「太らないを極める」

つまり同化をまず最初にある程度理解しておく必要があるんだ。

N美

インスリンによる同化反応を知るだけでPFCへと繋がって・・・

何か太りにくいのか、太りやすいのか、簡単に判断が出来るようになるなんて・・・

M彦

・・・・・。

アーシャ

M彦さんどうしたの?

M彦

いや・・・・その・・・・

ロミペン

(おっ、まさか・・・)

M彦

インスリンが「同化のシグナルを細胞に出すトリガー」なんですよね?

そして「インスリンは血糖値の上昇で分泌」される・・・

そして「血糖値は炭水化物(糖)の摂取で上がる」わけだから・・・

ダビデ

(ほう・・・)

M彦

「糖や炭水化物を取らなければ単純にインスリンが分泌されないから太らない」ってことじゃ・・・

N美

そっ、そうか!

インスリンさえ分泌しなければ同化シグナルは出ない!

つまりは「太らない」ってことですよね!

ダビデ

「インスリンレベルのコントロール」

それはまさに肉体彫刻の基本だ。



良く気付いたじゃないか、大したものだ。

M彦

やっぱり!

ダビデ

体脂肪になりやすく、優秀な高エネルギー源である脂質を制限して体脂肪の蓄積を防ぐLFD(ローファットダイエット)


LFDは「体脂肪の同化を抑える減量手法」だと言える。


これに対し


同化作用を持つインスリンレベルそのものを抑えて体脂肪の蓄積を防ぐために、炭水化物や糖質を制限して過剰なインスリン分泌を防ぐLCD(ローカーボダイエット)というものがある。


そして更に厳しく「糖質摂取を制限」してケトン体をメインのエネルギー消費とするアトキンス式(ケトジェニック)などもある。


LCDやケトジェニックは炭水化物(糖質)を制限することで「インスリンレベルを下げる」


つまり「同化そのものを抑制する減量手法」だと言える。

N美

なるほど・・・ではやはりインスリンの分泌さえ抑えれば痩せる・・・

M彦

そうか・・やっぱり炭水化物は肥満の根源・・・

ダビデ

そうくると思ったよ。

N美

へ?

M彦

え?

ダビデ

君らはまだ「同化」の入り口を理解したに過ぎない。

同化と同じく肉体彫刻に重要な「異化」をなにも理解していない。

N美

あ・・・

M彦

あ・・・

ロミペン

二人のように「安易に炭水化物を制限して」「体重が落ちた」人は数多くいるだろう。

ただし、それで「理想の肉体を手にできた」という人は決して多くないだろうね。

N美

で、でも・・インスリンさえ分泌されなければ、同化反応が起きずに良いはずでは・・・

M彦

そうだよ、インスリンさえ分泌しなきゃいいわけで・・・

ダビデ

インスリンの分泌をゼロに?

残念だったね。

君らが炭水化物や糖をいくら制限しようが

「インスリンは常に分泌されている」

N美

なっ、なんですって!?

M彦

そんなはずは無いですよ!

だって・・・血糖値が上がらなければインスリンは・・・

ダビデ

同化の入り口を理解したのであれば、次は「異化」だ。


異化とはエネルギーの放出。


さぁ、はじめよう。

肉体彫刻家が理解するべき「異化」について。

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