EP-10 同化と異化② ~体重を増やす、肉体増強ホルモン~

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究極の同化ホルモン

N美

インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモン・・・

その認識ではダメなのですか?

ダビデ

その認識では肉体彫刻の役には立たない。

M彦

そうなんですか!?

ダビデ

インスリンは血糖値を「下げるために分泌」される側面も持つ。

それは確かに事実だ。

だがそれだけ聞いて君らは何を思う?

N美

「そうなんだなぁ」・・・と。

高血糖状態が続くことは怖いので

「大事なホルモンなんだなぁ」・・・と。

ダビデ

高血糖による糖化が体内で起きていようと、君らが痛みを感じるわけではないだろう?


つまりは「無自覚」なんだ。


そして自覚が無いゆえに「大事なんですね」程度でインスリンの認識を終えてしまう。

M彦

確かに・・大事だなとは思いましたけど・・・

ダビデ

君らは「インスリンそのものが血糖値を下げる」と思っていないかな?

N美

そうですね!
「インスリンが血糖値を下げる」という認識です!

ダビデ

それは違う。

M彦

えぇっ!?

N美

だって・・・血糖値を下げる唯一のホルモンですよね!?

ダビデ

血糖、つまりグルコースはエネルギーになるといった。

そしてそのエネルギーを必要とするのは何だい?

M彦

えーっと・・・・

N美

「細胞」ですか?

確か酸素やエネルギーを必要とするのは細胞だって前回・・・

ダビデ

正解だ。

そして細胞が消費する以上のグルコースはどうなるんだい?

N美

たしか・・・糖質はグリコーゲンとして財布にしまう。

つまり肝臓や筋肉でグリコーゲンとして備蓄エネルギーにされる。


そして更に財布(グリコーゲン)に入りきらないグルコースは銀行口座(脂肪細胞)に収められる。

ダビデ

その通りだ。

つまり食事から摂取した糖質は

①細胞消費(脳・赤血球含む)

↓ ※余剰分

②筋肉・肝臓にグリコーゲンとして備蓄(財布)

↓ ※余剰分

③脂肪細胞に中性脂肪として備蓄される(銀行口座)

というわけだ。

M彦

そっ、そうでした!
(すごいや、N美さん・・・)

N美

・・・・・あれ?

アーシャ

どうしたの?

N美

インスリンって結局なんなのかと・・・

血糖値を下げるって・・・・

どこでインスリンが出てくるのかがよくわからなくて・・・

ロミペン

流石N美さん、よく気付いたね。

M彦

たっ、確かに!

どこでインスリンが出てくるんですか?

ダビデ

気付いたみたいだね。

「インスリンそのものが血糖値を下げるのではない」

糖を必要とする細胞に

「糖が届いています、どうぞ取り込んで利用してください」と
「細胞に声をかける」のがインスリンなんだ。

N美

そっ、そういうことか!

繋がりました!

M彦

インスリンそのものは血糖値を下げない!?

ダビデ

糖を必要とするのはあくまでも「細胞」だ。

そしてインスリンなどの「ホルモン」というのは
「細胞に対して働きかける化学物質」なんだ。


インスリンは「インスリン受容体」を持つ細胞に対して「糖が届いていますよ!」と声をかける。

すると細胞は「血液中のグルコースを取り込んで利用する」というわけだ。


細胞が血液中の糖を取り込んで利用するので、当然血糖値は下がる。

M彦

そ、そうか!

インスリンなどのホルモンは「細胞に対して使ってくださいと伝達する」

結果、細胞が糖を利用して血糖値は下がる。

ダビデ

その通りだ。

M彦

あれ・・・先生・・・

私は糖尿病予備軍とお医者さんから言われたのですが・・・

ダビデ

診断結果を見るに君は2型糖尿病の予備軍だといえる。

2型糖尿病は「インスリンに焦点を当てた際」大きく分けると以下の2種類に分類される。

①インスリンの分泌量低下

②インスリン感受性の低下

M彦

分泌量の低下は何となく意味がわかるのですが・・・

感受性の低下というのが・・・・

アーシャ

インスリンは何に対して働きかけるのだったかしら?

M彦

・・・・細胞?

N美

そっか!

細胞のインスリンを感じ取る力が下がっている!

つまり「インスリン感受性の低下」ということですね!

ダビデ

その通り。

細胞がインスリンに対して感受性が下がっている。
(感受性の低下)

またはインスリンに対して抵抗性が上がっている。
(抵抗性の増加)

とも言われたりするね。

他にも分泌反応の低下などもあるがここではあまり詳しくは延べない。

M彦

そ、そんな!

先生、教えてください!

ダビデ

「自分の状態を理解して」「最適な彫刻方法を選択する」

食事プランも含めてしっかりと「IMR実践編」で君の状態はまた改めて話をするから安心しなさい。

M彦

はっ、はい!

ダビデ

では、話を戻そう。

「インスリンは細胞に対して栄養素が来ましたよ」

と声をかける。

「栄養素を肉体の細胞に取り込む」 つまり「同化」だ。

N美

はいっ!

インスリンは細胞に対して「栄養素」が来ましたよと・・・・

N美

・・・・「栄養素」が来ましたよ?

ダビデ

ふふっ。

前回言わなかったかな?

「使わないお金は裸で持つな」

お金とはエネルギー。

エネルギーは必要以上に血液中に流してはいけない。

M彦

えっ?

「糖質が来ましたよ」じゃないのですか?

ダビデ

「3大栄養素」というものを聞いたことがあるだろう?

我々の身体にとって主となる栄養素の事だ。

N美

え・・・っと。

確か

①炭水化物(糖質)

②脂質

③タンパク質

ですよね?

ダビデ

その通り。


炭水化物は消化吸収を経て血液中にグルコースとして放出される。

タンパク質も消化吸収を経て、アミノ酸に分解され血液中に放出される。

脂質も「中性脂肪」「リン脂質」「コレステロール」などが消化吸収を経てリンパ管からこれも血液中(左鎖骨下静脈)に放出される。

N美

つまりエネルギーとなる3大栄養素は全て血液中に流れる・・・・

ダビデ

そしてインスリンはそれらすべての栄養素を身体の細胞に取り込むように声をかける。

「外からの栄養素を身体に取り込む」

つまりは同化(アナボリック)だ。

N美

へ・・・?

M彦

ということは脂肪も取り込むのですか!?

インスリンが取細胞に声をかけるのは「糖利用」だけではないのですか!?

ダビデ

いいや。


血液中のインスリン濃度が上がった際に、細胞がそれに反応して取り込むのは糖質だけではない。


筋肉においては糖だけでなくアミノ酸も取り込み、筋たんぱく質の合成が促進される


グリコーゲンとして貯蔵できない糖は肝臓で中性脂肪に変換される。


そして脂肪細胞においては血液中の中性脂肪の取り込みも促進される。


インスリンは栄養素を余すことなく細胞に同化するように働きかける。


究極の同化ホルモン(アナボリックホルモン)だ。

M彦

つまりは・・・太る・・・と?

ダビデ

確かにインスリンは脂肪細胞にも働き、体脂肪合成を促進させる一面もあるからね。

一部のメディアでは「肥満ホルモン」などと呼ばれていたな。

M彦

じゃ・・・じゃあ・・・

インスリンが肥満の元・・・

ダビデ

インスリンを「肥満ホルモン」という。


それは正に無知と言わざるを得ない。

N美

えっ!?

ダビデ

インスリンは唯一無二の肉体増強ホルモン。

飢餓から我々を守り、貴重な3大栄養素を余すことなく身体に取り込み、同化させる。

もしインスリンが分泌しなければ、我々の肉体を構成する細胞は栄養素をうまく取り込むことが出来ない。

つまり生きてはいけない。

N美

はっ、はい!
(先生怒ってる?)

M彦

わっ、わかりました!

ロミペン

自分たちに不都合な部分だけを切り取って「肥満ホルモン」とキャッチーに悪者扱いをする。

インスリンは俺たちが健康に生きていく上では欠かせないホルモンなんだ。

悪者呼ばわりするのは非常に愚かだね。

アーシャ

そして、美しい肉体を彫刻する上でもとても重要なホルモンなのよ。

肉体彫刻とは「同化と異化をコントロールすること」

そしてインスリンはその「同化」の部分を担う大切なホルモンなの。

N美

細胞への栄養素の取り込みを促し・・・肉体を増強するホルモン。

M彦

糖だけではなく、脂質やタンパク質の栄養素も取り込むのか・・・

ダビデ

その通り。

「インスリンは血糖値を下げるホルモン」

それはインスリン作用の一部に過ぎない。


インスリンは身体が栄養素を取り込むように各細胞に号令をかける。

それがアミノ酸であっても、脂質であってもだ。


つまり「究極の同化ホルモンなんだ」

N美

私たちが食事から栄養素を摂取して元気でいられるのも、インスリンが栄養素を身体に取り込むよう「身体中の細胞に号令をかけているから」なんですね。

M彦

ということはやっぱり・・・・

ロミペン

どうしたんだ?M彦?

M彦

栄養素を取り込むってことは・・。

やっぱり「肥満と大きく関係」しているように思えるんだ・・・

ダビデ

正解だよ。

インスリンは肉体増強のホルモンだと説明したね。

その同化シグナルは君らの脂肪細胞へも当然働く。

M彦

ひぃっ!

やっぱり・・・・

N美

ちょっと待って!

でも私・・・何か・・・見えてきたような気がするんです。

アーシャ

(N美さん・・・もう少しよ)

ダビデ

ふふっ。 その調子だ。

では次回、その見えてきた風景を1つずつクリアにしていこう。

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